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象牙根付 香車百足
一塊の象牙から彫り出した根付。武田信玄の使番・百足衆の旗印を根付に再現した、凄みと深い味わいを感じさせる現代根付です。戦国武将も愛用した伊賀組紐が付属します。
商品名: 象牙根付 香車百足
素材: 象牙
付属: 根付用伊賀組紐
職人: 安剛
武田信玄に報告する百足衆・初鹿野伝右衛門
武田家使番百足衆の一人に初鹿野伝右衛門昌久という武士がいました。使番(つかいばん)というと、単なる伝令役のように受け取られやすいですが、実はそうではありません。状況によっては前線にとどまり、指令が徹底するまで見届ける。ときには指揮を取ることまでやりました。その為、使番にはその大名家の勇武に優れた若武者がつとめました。つまり使番とは若武者羨望の役だったのです。
武者物語に、「武田信玄公の御内には、お使い武者十二人あり。指物がいずれも白き白半に黒百足を描きたる指物なり。然るにその中に、初鹿野伝右衛門という武者は百足無しの白き四半をさして出る。信玄公御覧あって、十二人の使い番の中に白き指物はいかなる者とお尋ねあるに、初鹿野伝右衛門と申し上ぐる。信玄公ご立腹あって、何とて軍法を背くとある時、伝右衛門申しあぐるは、御軍法はかつて背き申さず候。指物の乳の脇に一寸百足を付け申すとて御目にかくる。それは何としたることと仰せらるれば、伝右衛門申しあぐる。人並みに百足を付け候らえば、当座において武者ぶり、余人に紛れ候ゆえ、かくのごとくしてと申しあぐれば、信玄公御笑いなさるることなり。」とあります。
その百足衆の初鹿野伝右衛門が後年、何かあって主君・信玄の勘気をこうむりました。あたかも永禄12年(1569)信玄が軍を率いて北条の小田原城に迫ったときのことです。ひそかに軍に加わっていた伝右衛門は、指物に将棋駒の「香車」を使いました。それが信玄にみつかってとがめられると、
「伝右衛門申すは、御勘気のゆえに兜を着ず菅笠を着て出で候。香車の指物は成らずんば帰らぬの印にて候と申す。信玄、然らば酒匂の瀬ぶみ仕れとあるゆえ、初鹿承って先陣をしけるゆえに、味方疑を去って推し渡れり。」 香車は、前方のみ進める駒で、敵陣で成って「金」に出世する以外は、引くことも横へ動くこともできません。その敵陣へ向かって直進するのみで決して退くことのない決意をいったわけです。
この百足衆初鹿野伝右衛門が、香車駒の指物にして信玄に認められた逸話を商品化したのが、根付「香車百足」です。
百足は節足動物で、小昆虫を捕らえ、大あごから毒液を出して殺します。この威力からか、「軍神毘沙門天の使い」とされました。その為、強力な武器で刺し敵を倒すことから、武士に好まれ様々な用途に使用されました。
百足は足が多いことから、商家や歌舞伎俳優は、「出足が多い」ことを望んで縁起ものとして用いました。江戸時代には商家が屋号に使うなど流行しました。千客万来の印、それが百足紋です。
古くから香車は”やり”と呼ばれていました。やりは槍に通ずる。また男性の象徴にも通ずるもので、日光の興雲律院の「将棋堂」には、安産を祈念して将棋駒を奉納する風習がありますが、香車の駒が圧倒的に多いことからも、子孫繁栄のシンボルとされていることが伺えます。
江戸時代には各町に自身番というものがあり、町内の地主が順番詰めることになっていました。自身番とは別に町内では木戸番というものがあり、その番人を番太郎といいました。その番太郎たちが仲間内で指す縁台将棋に使う駒を、番太郎駒(番太駒)といいました。
現在、将棋駒の産地として有名な天童市では、大衆駒のことを番太郎駒と名づけています。
根付「香車百足」には、この江戸時代から続く大衆駒・番太郎駒の書体を使いました。
番太郎駒
適度に吸湿性があって手になじみやすく、材質が硬すぎず・柔らか過ぎず・加工性に優れている象牙は根付に最適です。江戸時代の芸術性の高い根付の多くに象牙が使われました。現在も有名美術館で当時の根付が多数展示されています。特に海外での人気が高く、欧米には根付専門のコレクターも存在するほど人気が高いです。香車百足は、一片の象牙から掘り出しています。
象牙
駒字の「香車」と駒銘の「安剛(花押)」の部分は、字を彫ったところにまず錆(さび)漆を埋め込んでいます。錆漆とは漆ととの粉を混ぜたもので下地の漆として使用されます。その上に黒漆を数回厚く塗り重ねています。漆塗り、湿気、乾燥を何度も繰り返しますので、時間と手間がかかる熟練の技術が必要な作業です。
忍者文献として有名な「萬川集海(ばんせんしゅうかい)」の第13巻に、下げ緒七術に使われた下げ緒の紐が記載されているところから、戦国時代末期の忍者により使われていたことがわかります。
藤堂高虎の伊賀入国とともに、城下町の築造、武士の城下町での居住により武具の需供体制が確立されました。藤堂藩鎧師・筒井小市郎などにより、甲冑の縅用(おどしよう)としての組紐も盛んにつくられました。武家社会制度の中で、武具、装具類を中心とした鎧師(よろいし)、打紐師(うちひもし)、刀鍛冶師(かたなかじし)などにより組紐は重宝されました。
当商品には、伊賀組紐の老舗・平井兼蔵商店の熟練の伊賀組紐職人による、根付用の特注伊賀組紐を使用しています。
伊賀組紐
安剛作 庭の主(個人蔵)
黄楊に拭き漆を施し、凄みや深みを持つ独自の仕上がりを目指している。骨董屋巡りの中で古根付の魅力に出会い、自身も根付彫刻を始める。見応えのあるしっかりとした「紐通しの穴」も魅力のひとつ。作品のモチーフは、爬虫類・魚・昆虫などから、竜・鯱などの霊獣など。
参考文献:「家紋逸話事典」「家紋大図鑑」
象牙根付 香車百足
・商品番号:
1102
・素材:
象牙
・付属:
根付用伊賀組紐
・大きさ:
2.6×3.6cm
・備考:
桐箱に入れてお届けします。
・価格:
79,500円
(税込・送料無料)
・色:
-
・大きさ:
-
・個数:
1
個
※色・大きさはありませんので「-」のままご注文下さい。