|
島根県の石見銀山に伝わる伝説に、昔筑前の神谷寿禎という男が、石見の沖を船で通ったとき、南の山を見ると”赫然たる光”が見えた。そこで船子に尋ねると、あの峰は昔銀が出たところで、銀峰山といい時々不思議な霊光が見えるが、今夕のはいつもより十倍明るい。再び銀が出る奇端ではないか、と教えられた。そこで神谷が銀峰山の谷を探して発見されたのが石見銀山の始まりだという伝説です。佐渡にも似たような話が伝わっています。越後の茂左衛門という商人が、夜中に船で佐渡の沢崎沖を通りかかったとき、”真鉄吹く炎のような光”を見たので、怪しんで船をつけ、奥山を探してみつけたのが、佐渡の鶴子銀山であるという言い伝えです。江戸時代最高の鉱山学者の佐藤信淵は『山相秘録』の中で、山に埋蔵されている金属から蒸発する精気がある、と述べています。そして銀の精は龍の如く、青白色で最初発生するときは煙のごとし。しばらくすると雲中龍のあるがごとき形になり、昇ること十余丈または二十丈ばかりで、ついに上天するように空中に散ずる。あるいは初め発するときに声が聞こえることもあるといいます。銀は太古の昔よりその神秘的な力を信じられてきたのです。 |